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2013.10.28 Monday

写欲をそそる窓

国内のロケではほとんどビジネスホテルに泊まるの。そして、朝起きて窓の遮光カーテンを開けると、大凡このような風景だ。
その日泊まった高知のホテルの部屋は6階だったように思う。
ここで、火災にあったらおしまいだろうなあ。
ずいぶん昔にまだ香港の空港が街の真ん中にあった頃、着陸寸前に窓から見えた街を思い出した。
当時も、ここで火災があったらなんて思ったが、現代の日本も地方の都市に行けば同じような密集した街である。
ちょっと話がそれてしまったが、僕は朝、初めて泊まるその街の風景を見るのが楽しみだ。
その日も前日ロケハンから夜戻り、スタッフとご飯を食べてから、すこしばかり夜の歓楽街を歩いた。
地方の歓楽街は意外に活気があって、きらびやかなネオンに結構な人出だった。
旧い雑居ビルの壁にはいろんな名前のバーやクラブの看板が並んでいる。撮影のスタッフは適当に目星をつけた店に行ったらしい。僕はお酒があまり得意ではないので、いつも歩くだけだ。
それでも、生きている街を実感するのは楽しい。

早朝6時に起きる。カーテンを開ける。昨日歩いたのはどの辺りだろう。多分あの看板の下あたりのはずだ。早朝だからあたりまえだけど、昨日のあの街とは思えないしーんと静まり返った街景だ。老朽化したビルはどれも廃屋のよう。ネオンもその光が消滅してる今は文字すら読むことが困難だ。でも、その眠っている街が妙に写欲をそそるのである。
もしも、ここに8x10のカメラがあったなら、迷わずにカメラを立てると思う。カラーネガで一枚撮ることだろう。
写真家とは、儚いものや切ないものに弱い。いや、写真になり易い。なぜなら写真とはある意味で時間の堆積物だからだ。
そこに堆積した人の垢のようなものを撮りたくなる。
何年かして、またこの同じホテルの同じ部屋に泊まれば、そこには一層堆積された時間を感じることだろう。または都市開発とやらで、小洒落たどうでもいいデザインのテナントビルに成り代わっているのだろうか。
そのどちらにしても、この風景は唯一無二の一枚なのである。それが写真というものの存在価値だ。

そしてもしも僕が毎回ロケのたびに8x10のカメラを持ち歩いていて、ホテルの窓景を撮っていたならば、それは立派なコンゼプトに構築になり、ドキュメントからアートへと写真が変わるのではないだろうか。

SONY RX1R 高知のホテル窓景

 
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