最も幸せなもの |
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リコーのコンパクトカメラGR1が出た翌年だったと思う。電通のアートディレクター野上さんからお電話いただいた。「電通の写真好きが中心になってGR1のサークル、東京ショット会というのを始めるのだけど、講師をしてくれないですか。」という内容だった。それから数年間、ぼくはそのサークルの講師をした。そして2007年、野上さんはADC賞を受賞して間もなく、病気で亡くなった。あまりにも突然の悲しい出来事だった。
昨日はその野上さんを偲んで二年半ぶりに東京ショット会が開かれた。メンバーは全員「野上さん」をテーマに撮った写真を持ち寄った。メンバーの一人ひとりが写真を見せながら、野上さんへの思いを語る。それぞれの写真はどれも彼の温かな人柄への愛情に満ちていた。
カメラは愛するものに向けられる。家族を愛すれば家族にカメラが向く。恋人にカメラが向く。美しい自然や光にカメラが向く。
カメラは人と人の間にあり、人と自然の間にあり、人と愛の間にある。そして写真はそこに生まれる。だからカメラという道具はこの世界で最も幸せな道具である。
野上さんを偲んで、ライカズミクロン50ミリ、F4。
最も幸せなもの