M.HASUIPhotographer

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細胞の話 21:00


このところしばしば考えることに、自分自身の細胞を意識してみるということがある。普段はどちらかと言えば内面としての心に(魂とでも言おうか)意識が向くことが日常なのだが、最近は自分自身の体を構成している最小単位である「細胞」の事を考える。そしてその細胞が昨日も書いたように、「感情」を生み出しているのではないかと。この細胞に最も直接的に影響をおよぼすのが、触るという行為である。指先を始め、人にとって最も重要な行為が接触という行為なのだ。例えばプリントは暗室で液体や紙に触れながら行うし、陶芸なども土に触れることからその芸術性を深めることになる。絵画は当然だし、スポーツもその芸術性にまで突き進めば、基本は肉体の触覚による感覚に行き着く。すべての表現にとって最も大切なののは「感情」である。それを生み出しているものは細胞ひとつひとつだという確信のようなものを感じるのである。その仮説に基づいて考えれば、どんな生物であろうと生きるものすべてには「感情」というものがあると言うことになる。植物、動物、昆虫、魚、微生物にも。僕らの想像を遥かに超えた情感世界が必ずそこにはあるはずだ。そうでないと自然界の現象をすべてそつなく説明することは不可能である。例えば、どう見ても落ち葉に見えるようなカモフラージュをした昆虫。その形態をいったいどうして与えられたのだろう。神さまが作られたと言えばそれまでだが、これも細胞が持つ「感情」の作用によってそうなったと思えば納得できる。補食されるという恐怖の感情がその形を生み出した。ぼくには細胞は他の細胞同士で何らかのコミュニケーションを図っているように思える。結果としてその中に「感情」というものが生まれるのではないだろうか。だからぼくは様々な自然に触れれば、新しい「感情」を受け取ることができる。そうして再び写欲が湧いてくるのである。
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植物の「感情」 23:16


朝、少し体操をしてから庭に出ると満開の梅が朝の逆光に光っていて寒い中にも春がくるぞと言っているようだった。そういえば、家の前にある大きな桜の木の芽も心なしか膨らんでいるようだ。植物というのはいったいどういった仕組みで、時間とか季節を感じているのだろう。そのメカニズムは意外なほどシンプルで、しかし人間の想像以上に繊細でまた正確な「感情」をもっているのだと思う。僕らは複雑なメカニズムを考えがちだが、もともと生命の仕組みは凄くシンプルだ。高校時代にぼくは生物部に所属して、珪藻の研究をしていたがそのときにもそう感じていた。「感情」この非常に複雑で深く得体の知れないものがどうして生まれるのかをよく考えるのだが、そもそもはこの単純な生命のシステム、すなわち細胞の一つ一つが生み出しているのだと思う。もしそうだとしたら、植物も生命として細胞からなる訳だから、当然「感情」を持ち得る。
春が来るぞと、その喜びの感情がほとばしる様な色として表れ、またその香りや形態は虫や鳥を誘い種族保存の本能の喜びを表現しているのだろう。ぼくらは植物にもっと目を向けるべきだ。そして「感情」の表現を学ぶべきだと思う。「感情」を持つ写真を撮るためにも植物に学びたい。
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土とプリント 20:51


早朝からの千葉でのロケ、気温はおそらく0度だろう。しんしんと冷える。クルマを降りてみると、さくっと音がした。霜柱が立っている。やはり氷点下だったのだろう。でもこの音はいい。子供の頃から霜柱を踏むのは楽しかった。先日と同じように4x5とライカ、それにデジタル一眼レフで午前中の良い光を待って撮影した。今日も天候に恵まれてスムーズに撮影が終わった。ふと後ろを見ると畑の土には既に霜柱は解けてなくなっていた。そして霜柱が盛り上げた土が端正なマテリアルを作り上げている。それを見たときに、僕には上質のバライタのモノクロプリントに見えた。印画紙にしみ込んだ漆黒の銀の粒子はよく見ると同じ様なマテリアルをしている。写真は土だ。映像を支える土台である。そこがインクジェットプリントにはなし得ないのではないだろうか。インクはあくまでも支持体の表面にこびり付いたものだからである。印画紙の銀はその支持体であるバライタ紙と一体となっている。
良い土には良い作物や植物が根付く様に、良いプリントには良い映像が根付く。人も同じ。まさに地に足をつけて生きなくてならない。ライカズミクロン50ミリ、f8。
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カメラは絵筆 20:39


昨日の撮影はいろんな表現の可能性を探るために、フィルムの4x5と35ミリ、デジタル一眼レフと三種類のカメラで撮影した。今日はそれぞれのカメラで撮った映像を出力して比較見当した。カットは同じ時間に同じシーンを撮影しているのだが、当然ながらすべてがまったく違った表情を見せている。4x5と35ミリが違うのは当然だが、アートディレクターが言うには、最も意外な結果は35ミリで撮ったフィルムとデジタルがまったく違うという事だった。現代のデジタル一眼レフの解像力は4x5のフィルムカメラをも凌駕している。従ってどちらかというとデジタル一眼は4x5に近い画質を持つ。それに対してライカで撮影したフィルムの35ミリは最も解像力には欠けるのだが、その何とも写真臭いあたたかな表情は何者にも代え難い美しさだった。
カメラは絵筆である。どのようなカメラを使用するかによって、描ける絵の表情が大きく変わる。それ故に最近のデジタル一辺倒に悲しさを感じるのである。先日、ついに富士フィルムが大幅なフィルム製造の打ち切りを発表した。まだすべてではないもののフィルムの選択肢が減るというのも、絵筆を選べなくなる事に繋がる。画一なる事の安易さと怖さをぜひもう一度考えていただきたい。ライカズミルクス50ミリ、f8。
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人から人へ 20:37


千葉の佐倉でロケだった。あるお宅に伺ってその方のお家と生活をスナップするという企画だ。今日伺ったお宅のご主人は一流企業の社員で海外勤務だったそうだが、かねてからの夢を叶えるためにその企業を退社して家具職人になったそうだ。ご自宅の隣に手作りの工房を持ち、そこでオーダーの家具を一人で丁寧に丁寧に作られている。チャーミングで自然派の奥様と元気な三人のお子さんのお父さんである。少しお話をしたのだが、彼もまた手作りで本物の家具を一人一人に届けて行きたいそうだ。人から人へ、プロダクトというものはそれが本質だと語られる。僕の写真の話を少し聞いていただいたのだが、凄く似ている一面があると感じた。僕にとっては写真も本質は工芸である。いま考えているオリジナル写真の作り方に協力していただきたいと申し出ると、「ぜひ!」と力強いお返事をいただいた。この企画はもう少し整ったらこのブログでお伝えするつもりである。それにしても最近そういう方によく出会う。時代の価値観に大きな変化が始まっているように感じた一日だった。
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