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ぼけっと二時間 20:22


先日新宿のDIGに久しぶりに行った事はこのブログにも書いたが、学生の頃、いや正確に言うならば高校生の頃から二十代前半までだが僕はよくジャズ喫茶に行っていた。いや入り浸っていた。今はもうあまり無いジャズ喫茶。その響きにノスタルジーさえ感じるが、いま思えばいいものだった。渋谷ならジニアスや音楽館。代々木のナル、新宿のディグ、ダグ、木馬。それらが行きつけだった。大概暗い入り口をくぐると大きなアルテックの銀箱やJBLから大音量で聞こえる音に、人々は目を閉じてじっと瞑想するかの様な表情で聞いている。僕もコーヒーと声を出さず口の動きで注文すると、まず二時間は座って聞いていたものだ。
いま僕にはそういう時間が懐かしい。そして切実に欲しい。毎日忙しく仕事をしてメールをチェックして、携帯をとり、家に帰ってもまたコンピューターを開く。仕事は楽しいからストレスにはならないが、何が問題かと言えば、ぼけっと考えるという時間がない事に気が付く。ジャズ喫茶での二時間はジャズを聴くだけではなく、ぼけっと何かを考える時間だった。決して大げさではなく、人生とは、仕事とは、とけっして結論の出ない事を黙々と考えていた。そんな時間が今は懐かしいのである。コンピューターで情報を収集し、即レス(というらしい)のメディアに一喜一憂する。そして友人や仕事仲間が今何処でどうしているかを気にしながら、少しでも連絡が無いと不安になったりする。現代のこのスピード感はなかなかぼけっとする事を許してはくれない。
今月後半はすこし仕事が切れる。思い切って、携帯切って、カメラだけ持ってジャズ喫茶でぼけっと次の作品のプランでもでも考えてみようかな。海辺の太陽、ライカズミルクス50ミリ、F11。
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ご来場ありがとうございました。 21:46


フォーシーズンズホテルでの展覧会が今日で終了いたしました。わざわざおいで下さった皆様、本当にありがとうございました。今日は最終日という事で、簡単なギャラリートークをキュレーターの太田菜穂子さんと開きました。なかなか作品について語るのは難しいもので、僕の場合とくに観念論になってしまうので、太田さんもちょっとやりにくそうでしたが、そこをうまく要約して下さり助かりました。写真を撮るという行為を僕の何がさせているのか、自分にははっきりとわかっているのですが、説明するといつもなんか違う方向に行ってしまいます。でもそこをうまく伝えられなくてはいけないと思っています。頑張ります。
さて次はいよいよ新作である「詠む写真」の展覧会を企画しようと思っています。出来ればこの秋にはどこかで開催するつもりです。また夏にはアルルにも行くので、その作品もまとめなくてはなりません。
前からお約束している暗室ワークショップの開催、写真展の企画、また試作しているゼラチンシルバーブックマークの制作(なかなかいいものになりました。改めてご案内いたします)、あたらしいギャラリーサイト「光の画廊」の始動とやらなくてはならない事がいっぱいです。これからもよろしくお願いいたします。
椿山荘の森と三重塔。ライカズミルクス50ミリ、f11。
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今日という一日 23:24


朝起きてすぐに今進行している作品撮りの画像を開き、レタッチに取りかかる。少しすると娘が起きて来た。僕の部屋のベッドに座ってi-phoneでしばらくゲームをしていたが、wiiをしようと誘われて下のリビングでwiiをする。そしてことごとく負ける。午後、ビックカメラに行って買い物、その後僕は藤沢から東海道線で都内に向かう。クレーのキュレーターである太田さんからコンサートのお誘いをいただき、会場の紀尾井町会館へ向かうが、かなり時間があったので新宿に立ち寄る事にした。新宿は人ごみで賑わっていた。いつも出る西口(ヨドバシがある)ではなく、昔慣れ親しんだ東口に出る。高野の前をわたり、紀伊国屋の一階にある喫煙具店に。二十代の頃先生の影響でカッコつけてやっていたパイプが懐かしく、見に行きたくなったのである。その店は当時とあまり変わらずそこにあった。以前持っていたのと同じデンマーク製の黒いパイプとクランという甘い香りの葉を購入した。アドホックを抜けるとそこにはDIGというジャズ喫茶がある。昼間はカフェタイムなので先週買ったアラキさんの随筆集を持って店内に降りると、ビバップのジャズに美味しいコーヒーの香りだ。忘れていた空気。約一時間コーヒーを飲みながら懐かしいクランの香りを楽しんで店を出た。二十年ぶりのパイプタバコの味はその香りのように甘かった。そういえばこういう時間の過ごし方をすっかり忘れていた。
夕方四谷駅から上智大学横の遊歩道を歩いてホールへ。夕日が美しい。コンサートは塩谷哲と上妻宏光のデュオ。ピアノに三味線という組み合わせ、思ったほど違和感を感じなかった。8時過ぎ、帰りは東京駅から伊東行きに乗り藤沢で遅めの夕食をとってから、30分夜の川沿いを歩いて帰宅。なんだか昔に戻った様な不思議な一日だった。シグマDP2、f2.8。
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写真体験 22:57


後二日でフォーシーズンズホテルでの写真展が終了する。あっという間の一ヶ月間だった。ホテルという普通は写真展など開催しない環境での開催にいささか不安もあったのだが、寧ろ普段はあまり写真に触れない方々に、オリジナルプリントで写真を見ていただく事が出来て意義のある開催だったと思う。先日もお知らせした通り、印画紙やフィルムがどんどん無くなっていくこれから、ますますオリジナルのアナログ写真を見る機会は減っていく事だろう。だからこそ、展示の機会があれば積極的に上質のプリントを展示して、多くの人に見ていただきたいと思う。明日は朝から娘の友達がやってくるので、暗室プリントの見学会を自宅で開く。こういう事をすると、子供は目を丸くして喜ぶ。まるで手品を見る時の様な驚きぶりである。自分がいいと感じてシャッターを押せば、それが映像として記録される。カメラという不思議な機械の魔法だが、その先にももう一つ魔法が待っていたと。実は僕自身がいまだにその不思議な感覚の呪縛から逃れられずにいる。毎日写真のことを思い、考え、悩み、喜ぶのも子供の頃に父親の影響で体験した写真があったからだろう。この夏にはフォーシーズンズホテルと、区やメーカーのご協力で子供写真体験会が開けそうである。今からそのプログラムを考えているところだ。ホテルに暗室を仮説してみようかとか、プラチナプリントを子供たちと太陽の光で作ってみようかなどと。ライカズミクロン50ミリ、f8。
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ツイッターというメディア 22:29


スタジオでのライティングの合間にあたりを見ると、何人かのスタッフが、しきりに携帯をチェックしている。何をしているのかと問えば、「ツイッターですよ」という答えが帰ってくる。僕もあれ以来少しずつ続けているが、周りの人はほとんどやっていると言っていいほどの流行ぶりである。これって結構中毒になるようで、ちょくちょく携帯を覗く事になる。インターネットという、具体的には何処にあるのか判らないコミュニケーション網を凄い数の「つぶやき」という言葉が飛び交っているのである。その「つぶたき」というものは本来他者の反応や返信を待つ類いではないはずなのだが、今はまるでメールのようにそこには会話が飛び交っているのである。この新種のメディアは急速にその姿を見せつつある。オンタイムで作家はツイッター小説を連載しなじめ、写真家は写真をそこに掲載し始め、小売業の生産者は生産情報を宣伝し始める。そんなメディアが今まであっただろうか。オンタイムの情報、なう、という言葉で表現される「今、その時」という情報の連続は、今までの僕たちのメディアにはあまり無かったのではないだろうか。そこに誰しもが新しさや新鮮さ、可能性を感じているのではないだろうか。ぼくたちがつくっている広告やCMがなんだか急速に時代に取り残されていく様な感覚に襲われる時がある。
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